■ AUTOMATA・その2

aquio2005-02-13

岡山の現代玩具博物館が所蔵するオートマタ、
「ピエロ・エクリィヴァン」。
エクリィヴァンは「ECRIVAIN」と綴る。
エクリィヴァンは「代筆」とか
「作家」を意味するフランス語。
従って、ピエロ・エクリィヴァンは、
「手紙を書くピエロ」とか、
「代筆するピエロ」というような意味になる。
一日の仕事を終えたピエロは、
ランプに火を灯して恋人に手紙を書き始める。
油が切れかかっているのか、
ランプの灯火は徐々に細く小さくなっていく。
手元が暗くなっていくのも気付かず、
ピエロはウトウトと居眠りをしてしまうが、
フッと我に返り、
ランプの灯火を大きくして、
また、恋人に向けて手紙を書き始める・・・。
このオートマタには、
そんな物語が設定されている。
もともと、ピエロ・エクリィヴァンは、
一八三九年、時計職人の息子としてパリに生まれた
「ギュスターブ・ヴィシー」が製作したものであった。
現代玩具博物館が収蔵するエクリィヴァンは、
一九二八年、造園師の息子として生まれたフランス人、
「ミッシェル・ベルトラン」が製作したレプリカ。
ベルトランはヴィシーの技術の後継者であり、
独創的なオートマタの製作に専念しつつ
古いオートマタの修復や復刻にも力を注いだ。
日本には十数体のエクリィヴァンが現存するが、
スイスの「サン・クロア」にある
オルゴールとオートマタの博物館「CIMA/シーマ」には、
世界にたった一体だけ、
ピエロの恋人のオートマタが収蔵されている。
彼女の名前は「COLOMBINE/コロンビーヌ」。
ペン先にインクをつけてやると、
コロンビーヌは紙の上に、「PIEROT」、と、書く・・・。