■ SEIFFEN/ザイフェン・その2

aquio2005-03-14

旧・東ドイツのエルツ地方、
チェコと国境を接するところに、
「SEIFFEN/ザイフェン」はある。
ザイフェンは
人口たった三千人の小さな村。
その三千人の内の二千人が
おもちゃの生産に従事している。
文字どおりの「おもちゃの村」。
あの「クルミ割り人形」もこの村で産まれた。
ザイフェンを初めて訪れたのは
今から何年前のことだったろうか・・・。
東西ドイツが統合されて間のない頃だったと記憶している。
ケムニッツから車で二時間余り。
地の果てにあるような、小さな村だった。
今から約百年ほど前、
このザイフェンに一人の日本人がやって来たことがあったらしい。
「その日本人は何をしに来たのか」と、問うと、
「我々の木工の技術を盗みに来た」と、いう返事。
ザイフェンでは有名な話であるらしく、
「日本人を見たら泥棒と思え」と代々語り継がれてきた・・・。
今朝、
ザイフェンの玩具博物館から新しい会員証が届く。
ザイフェンに住む玩具職人
「ヴォルフガング・ヴェルナー」の推薦で、
ザイフェン玩具博物館の会員になってから五年が経つ。
会員ナンバー105番。
ザイフェンを訪れた回数は二十回を超えるだろう。
しかし、それでも
なかなか心を開いてはもらえなかった・・・。
十数年前まで、
ザイフェンは社会主義に組みこまれた寒村であった。
家族の中に密告者がいたり、
隣人が秘密警察の人間であったという歴史がある。
日本人に限らず、
同じ村の人間にも容易に心の中を覗かせなかったのだ。
そのザイフェンも、今や世界中から観光客が訪れるようになった。
昔ながらの手法で作られるおもちゃを求めて、
多くの観光客がザイフェンを訪れる。
逆に言えば、
社会主義であったからこそ、昔のままの手づくりの技術が残ってきたのだろう。
五月になれば、ヴォルフガングが日本にやって来る。
我が家に招待しよう。
京都に連れていってやろう。