■ 春雷

aquio2005-04-03

大気の状態が不安定であるのだろう、
ゴロゴロと春雷の音が遠くで聞こえる。
庭の「三椏/みつまた」の花が咲きだした。
その昔、
H村は和紙の原料となる
三椏の栽培の盛んな村であったらしい。
植えた憶えはないのだが、
いつの間にか、
庭には数本の三椏の木が育つようになった。
鞠状の白い蕾から、
黄色い花が次々に咲いていく。
梅、櫻、三椏、桃、まんさく・・・。
標高が高いからだろう、
H村では花という花が一斉に咲き出す。
H村は、修験道の山として有名な
「後山/うしろやま」の麓にある。
「氷ノ山後山奈義山国定公園」の一画。
後山は岡山県の最高峰。
弘法大師が開いた霊山と言われ、
今でも女人入山禁止のしきたりがある。
毎年九月になると、
奥の院には全国から修験者達が集まり、
盛大な護摩法要が営まれる。
大きな篝火は智慧を表し、
薪は煩悩を表す。
智慧の火で煩悩を燃やし尽くすことの象徴が
護摩法要であり、
煩悩を断じた境地が「悟り」であると、
そんな話を道仙寺の和尚から聞いた憶えがある。
確かに、
人には、貪や痴や慢や疑といった様々な煩悩がある。
しかし、
煩悩があるからこそ人は生きていけるのではないだろうか。
理性さえ失わなければ、
煩悩大いに結構と、
私はそう思うのだが・・・・。