■ FORNICON

aquio2005-05-03

岡山県H村から六甲山へと、
生活の拠点が移りつつある。
仕事に必要な書籍をH村から少しずつ移すことにした。
書架を整理していたら、
三十五年ほど前に入手した、
「TOMI UNGERER/トミー・アンゲラー」の
「FORNICON/フォーニコン」が出てきた。
「すてきな3にんぐみ」「月おとこ」
「キスなんてだいきらい」
「ゼラルダと人喰い鬼」「エミールくんがんばる」
「へびのクリクター」・・・・。
子どもたちがベッドに入る前、
女房はよく読み聞かせをしていたものだった。
アンゲラーの絵本はたくさん持っているが、
子どもには見せられない
「大人の絵本」もたくさん持っている。
「KOMPROMISSE」「EROTOSCOPE」「BABYLON」
「THE UNDERGROUND SKETCHBOOK」・・・。
そんな中でも、
このフォーニコンは伝説の書籍になっているらしい。
近年、その文庫本サイズのものが出版されたらしいが、
いろんな古書のサイトで調べてみると、
初版ものには六万円もの値段がついていた・・・。
たしかに、
貧乏な若造にとって、当時も安くはない値段であったが、
六万円とは・・・・。
なんだかとっても得をしたような感じがする。
フォーニコンには、
シニカルな機械仕掛けのエロティシズムが描かれている。
一九六○年代のニュー・リアリズム。
数十枚にも及ぶイラストを見ていくうち、
いつもゲラゲラと笑いだしてしまう・・・。
人間の肉欲を冷笑するかのような視線がそこにはある。
性を快楽の道具にしてしまった、
そんな人間の馬鹿らしさが描かれている。