■ 並木道
アパートから職場に向かう道。
登り坂に向かって右側にイチョウ並木、
左側には欅並木が続いている。
イチョウと欅、
若葉のトンネルが約一キロ以上にもわたって続き、
欅並木の左側に設けられた疎水には奇麗な水が流れている。
車の通行量も少なく、
所々に小さな公園が設けられている。
アパートから職場までの距離は約四キロ。
歩いて約一時間ほどの距離。
時々この四キロの道を歩いて通勤することがある。
出会うのは犬を連れた老人ばかり。
住民には年金生活者が多いという話を聞く・・・。
この住宅地が開発されたのは
今から約三十年ほど前のことであるらしい。
とても閑静な住宅街・・・。
所々に空き家が見られる。
大きな欅のすぐ側に、
今朝も一件の空き家を見つけた。
人が住まなくなって久しいのだろう、
庭の草も伸び放題に伸びていた。
現役を引退したら、
この小さな町で余生を送るのも悪くないな・・・と、
フとそんなことを考える。
坂の上に立ち、
歩いてきた坂道を見下ろしながら一息いれる。
緩いとはいえ、
一キロの登り坂は結構足に応える。
十七歳の頃、
二十五キロの荷物を担いで山岳路を走破した、
あの頃の体力はどこにいってしまったのだろう。
ま、ボチボチ行こか・・・ということやね。