■ フェリーニのローマ

aquio2005-07-02

フェリーニのローマ」を観る。
この映画を映画館で観たのは今から三十三年ほど前。
私が東京に住んでいた頃だったと思う。
映画には物語りも無ければ筋書きも無い・・・。
ただ、フェリーニのローマに対する心象風景が、
次から次へと現れては消えていく・・・。
フェリーニのローマ」は、
フェデリコ・フェリーニ」によるローマ三部作の内の一つ。
サテリコン」「甘い生活」と続く。
カメラを向けられた時の、
「フェデリコ、だめよ、もう帰りなさい」と言う
アンナ・マニャーニ」の存在感といったら。
六十五歳でこの世を去った名女優、
マニャーニ最後の台詞であったらしい・・・。
単車に乗った若者たちが、
古代遺跡の残るローマの街の中を暴走するラスト・シーン、
人生は短い、しかし、ローマは永遠であるという暗示なのだろうか。
ローマは不思議の街。
聖と俗、新と旧がごった煮のように共存している。
それをこの映画は見事に描ききったのではないかと思う。
そして、
映画を観ながらイタリアはつくづく不思議の国だと思う。
イタリアから興った世界組織が二つある。
一つは、世界に約六億人の信徒を持つ「ローマ・カトリック教会」。
もう一つは、「マフィア」・・・。
聖と俗、善と悪、明と暗。
両の極端を担う世界組織がイタリアから生まれた。
日曜日にはマフィアも教会に出かけて礼拝するらしい。
不思議・・・。
映画も不思議に溢れていた。