■ フェリーニのローマ
「フェリーニのローマ」を観る。
この映画を映画館で観たのは今から三十三年ほど前。
私が東京に住んでいた頃だったと思う。
映画には物語りも無ければ筋書きも無い・・・。
ただ、フェリーニのローマに対する心象風景が、
次から次へと現れては消えていく・・・。
「フェリーニのローマ」は、
「フェデリコ・フェリーニ」によるローマ三部作の内の一つ。
「サテリコン」「甘い生活」と続く。
カメラを向けられた時の、
「フェデリコ、だめよ、もう帰りなさい」と言う
「アンナ・マニャーニ」の存在感といったら。
六十五歳でこの世を去った名女優、
マニャーニ最後の台詞であったらしい・・・。
単車に乗った若者たちが、
古代遺跡の残るローマの街の中を暴走するラスト・シーン、
人生は短い、しかし、ローマは永遠であるという暗示なのだろうか。
ローマは不思議の街。
聖と俗、新と旧がごった煮のように共存している。
それをこの映画は見事に描ききったのではないかと思う。
そして、
映画を観ながらイタリアはつくづく不思議の国だと思う。
イタリアから興った世界組織が二つある。
一つは、世界に約六億人の信徒を持つ「ローマ・カトリック教会」。
もう一つは、「マフィア」・・・。
聖と俗、善と悪、明と暗。
両の極端を担う世界組織がイタリアから生まれた。
日曜日にはマフィアも教会に出かけて礼拝するらしい。
不思議・・・。
映画も不思議に溢れていた。