■ 眼鏡考・その3

aquio2005-07-17

眼鏡をかける時、
若い頃に観た映画を思い出すことがある。
映画のタイトルは「刑事」。
監督・主演は「ピエトロ・ジェルミ」。
共演は「クラウディア・カルディナーレ」。
この映画はカルディナーレの
デビュー作ではなかっただろうか・・・。
そして、映画「シェルブールの雨傘」で
カトリーヌ・ドヌーヴ」と共演した
「ニーノ・カステルヌーヴォ」。
ピエトロ・ジェルミ」は冷徹な頭脳を持った刑事。
いつもサングラスをかけている。
カルディナーレは通いの家政婦、
カステルヌーヴォは電気工の役であった。
家政婦と電気工は結婚を約束した仲であった。
映画はあるアパートの一室に泥棒が侵入するシーンから始まる。
後日、同じアパートで殺人事件が起きる。
刑事は徐々にその捜査の網を絞り込んでいく・・・。
刑事は冷徹な男であったが、
恋をする家政婦と電気工を見る目には暖かさがあった。
家政婦がアパートの鍵を手に入れ、
その鍵を恋人の電気工に手渡す。
電気工はその鍵を使って部屋に盗みに入る・・・。
電気工は家政婦と結婚するための金が欲しかったのだ。
電気工が室内を物色している時、
運悪くその部屋の住人が帰ってくる。
もみ合っているうち、電気工は殺人を犯してしまう。
物語はそのような内容であったと記憶している。
捕まえたくはなかった若者を捕まえなくてはならない・・・。
電気工を車に乗せて連行する時、
刑事はやり切れなさに涙が出そうな表情を一瞬見せるが、
サングラスをかけて表情を隠してしまう・・・。
サングラスをかけることで、
刑事はもとの冷徹な刑事の表情に戻っていく・・・。
「カッコイイナァ・・・!」
「男はこうでなくっちゃ!」
「眼鏡はこのように使うものなのだ!」
「小道具はこのように使うものなのだ!」と、
軽薄な若者であった私はいたく感動を覚えたものであった。
「アモーレ・アモーレ・アモーレ・アモーレ・ミオ」で始まる映画の主題曲、
「死ぬほど愛して」は一世を風靡した。
今も軽薄な私は、
サングラスをかけて「ピエトロ・ジェルミ」を気取ることがある。