■ お血脈/おけちみゃく

aquio2005-10-05

昔、信州信濃善光寺には
お血脈(おけちみゃく)の御印」というものがあった。
いくばくかの金を出し、
その御印を額に押し当ててもらえば、
すべての罪は消え去り極楽往生間違いなしという、
とても有り難い御印であった。
金さえ出せば極楽に行けるというのであるから、
お血脈の御印」を額に押し当ててもらおうと、
庶民は競って善光寺にお参りをしたらしい。
善光寺はこれで大儲けをした・・・。
その結果、
ほとんどの人間は極楽に行ってしまい、
地獄は閑古鳥が鳴くような状態になってしまった・・・。
地獄の鬼たちは暇をもてあそぶようになり、
亡者をいたぶる仕事にも熱が入らなくなってしまう。
血の池地獄の血は干上がってしまい、
針の山地獄の針は錆びついてしまう・・・。
これを憂慮した閻魔大王石川五右衛門を呼び出し、
善光寺の御印を盗み出してくるよう命令する。
五右衛門にとって寺に忍び込むなんてことは朝飯前。
出かけていってさっさと御印を盗むことに成功するが、
「これが噂のお血脈の御印か!?」
「やれやれ有り難い、かたじけない」と、
うっかり額に押し当ててしまったものだから、
五右衛門は極楽に行ってしまう・・・・。
上方落語お血脈」の粗筋。
三砂ちづる」著「オニババ化する女たち」を読んでいて思い出した落語。
その落語の中にこんな狂歌があった。
「女ほど世にも尊きものはなし釈迦も孔子もひょこひょこと産む」
私の周りには三十歳を過ぎて結婚しない女性たちがゴロゴロといる。
「男はいらないが赤ちゃんは欲しい」と、
彼女たちは口を揃えて言う。
私には彼女たちの真意が解らない・・・。
「結婚はしたくないけど赤ちゃんだけは欲しいってこと?」と訊くと、
「そう!」と答える。
「私にできることがあれば何でもするよ」と言うと、
それは「セクハラ」だと言われた。
おかしいなぁ?
釈迦や孔子には父親がいなかったのだろうか・・・?