■ 角兵食堂

aquio2005-10-12

時計は八時半を過ぎた。
今日もよく遊んだ。
私もSも頭から小麦粉を被ったような顔をしている。
眉毛に細かな木屑が降り積もっている。
鼻の頭にも白い木屑が付着している。
今日は一日中材木と格闘していたのだ。
「おい、腹がへったなぁ」
「はい、もうペコペコです」
「ご飯食べに行こうか」
「何食べます?」
「トンカツなんてどう?」
「いいですねぇ」
「かつ福に行こうか!?」
「アッ、あそこのトンカツは美味しいんですよね」
「かつ福」の駐車場に車を乗り入れてから気が付いた。
二人とも相当ひどい格好をしている・・・。
オーバーオールは細かな木屑で汚れたままだし、
指先には様々な色の絵の具が付着したまま。
「この格好のままじゃぁ店に入れてもらえんよなぁ・・・」
「コンビニでお弁当でも買いましょうか?」
「う〜ん、それもなんだか侘しいしなぁ・・・」
「アッ、それじゃぁ『角兵』に行きましょう!」
「オッ、それはいいねぇ」
「その前に、少しでも埃を落としません?」
「あぁ、そうしよう」
二人してお互いの服に付着した埃を落としあう。
「角兵食堂」は満席であった。
トラックの運転手らしき人に相席をお願いして座る。
烏賊のリング揚げに鯖の煮付け、熱々の豚汁とポテト・サラダ。
キッチンの中では中年の女性が卵焼きを作っていた。
卵焼きはホクホクと湯気をたてていた。
卵焼きとご飯の「中」も頼んで、代金は〆て九百三円。
美味しかった。
安かった。