■ プルチネッラ

aquio2006-01-02

今年も大勢の方々から年賀状を頂戴する。
グラスゴーにお住まいの
「ブルンダール」さんからの年賀状には、
花を持つ「プルチネッラ」のイラストが描かれていた。
カードの片隅には
「JOHN M BLUNDALL」とサインが入っていた。
ブルンダールさん直筆のイラストレーション。
今から約五百年ほど前のイタリアにおいて、
コメディア・デラルテ」という即興の仮面劇が起こる。
コメディア・デラルテ」には様々な物語があった。
物語には様々な役どころを持った役者が登場したが、
役者の衣装や役どころのほとんどは類型化されていた。
例えば、
吝嗇で好色な老人の名前は「パンタローネ」と呼ばれ、
いつも脚にぴたりと貼りつくようなズボンを穿いて登場していた。
その「パンタローネ」という登場人物の名前から、
パンタロン」や「パンツ」という名詞が誕生する。
いつも白いダブダブの衣装を着て登場する若者の名前は「ペドロリーノ」。
いつも菱形の布を繋ぎ合わせた衣装を着て登場するのは「アルレッキーノ」。
コメディア・デラルテ」の演劇形態がフランスに伝わった時、
「ペドロリーノ」という名前は「ピエロ」に変化し、
アルレッキーノ」は「アルルカン」に変化していく。
「プルチネッラ」はイギリスに渡って「パンチ」と改名され、
ドイツに渡って「カスパー」と呼ばれるようになる。
そして、ロシアに渡った「プルチネッラ」は
「ペトリューシュカ」と呼ばれるようになる。
あの「ストラビンスキー」が作曲し、
あの「フォーキン」が振り付けを担当したバレー、
あの「ペトリューシュカ」の「ペトリューシュカ」・・・。
人形の「ペトリューシュカ」は踊り子の人形に恋をするが、
踊り子の人形はムーア人の人形に恋してる・・・という、
とても切ない人形たちの恋の物語・・・・。
私はこの「コメディア・デラルテ」の物語に強く惹かれる。
「ブルンダール」さんはそのことを憶えてくださっていたのだろう。
「ブルンダール」さんは世界を代表する人形師であり、
世界を代表する人形遣いでもある。
彼は日本の桧を欲しがっていた。
クリスマスには間に合わなかったが、
能面用の素晴らしい桧材が手に入った。
明日にでもグラスゴーに送ることにしよう。