■ お呼び出し
左斜め前を走行する赤い車を追い越そうとした時、
何の前触れもなく、
いきなりその車は車線を変更してきた。
私は急ブレーキを踏んで追突の難を逃れた。
私の車の接近に気が付かなかったのだろうと判断し、
注意を促す目的で、私はクラクションを鳴らした。
去年の暮、高速道路のトンネルの中での出来事。
クラクションが運転者の神経を逆撫でしたのだろう、
ヘッドライトを上向きにしたまま、
その車は私の後を追いかけてきた・・・・。
私の車を追い越しざま、私の車の直前で急ブレーキをかける。
私も急ブレーキを踏んで追突を避ける・・・。
車はそのまま追い越していったが、
一キロほど先で、そいつはタンク・ローリーの陰に隠れて待ち伏せをしていた。
そいつは私の車を追い越し、私の車の前で急ブレーキを踏む。
私も急ブレーキを踏んで逃れる。
私に危害をくわえようとしているのは明らかであった。
キチガイは執拗に同じことを何度も何度も繰り返す。
とうとう車のスピードは百五十キロを超えた・・・。
車の中から「110番」に連絡をとり、状況を伝える。
「貴方は怪我をしましたか?」
「いいえ」
「車に損傷を受けましたか?」
「いいえ」
「それではあまり関わりにならないようにしてください」
この一言でカチンときた。
「誰がキチガイに関わりたいものか!」
「キチガイが一方的に関わってきてるんじゃないか!」
「私が事故で死んだら警察は動くのか?」
「今、このキチガイがやっていることは傷害未遂ではないのか!?」
「・・・・・」
「今の君のような対応のせいで、桶川の女子大生は殺されたのではなかったか?」
「・・・・・」
「もういい!君の名前は?」
「・・・・・」
携帯のスイッチを切り、車を左車線に戻して路側帯に車を停める。
殴り合いの喧嘩になることを覚悟した。
私が車を停車させたのを見て、キチガイの車はそのまま走り去っていった。
自分の身は自分で護る時代になったのだろうか。
警察が当てにならない以上、そうするしかないだろう。
今朝、その警察から「駐車違反」の呼出状を頂戴する。
「キチガイに刃物」「バカに権力」・・・。
やれやれ・・・である。