■ 独楽回しの鬼ごっこ

aquio2006-01-18

私が小学生であった頃、
町内では「独楽回しの鬼ごっこ」が流行っていた。
独楽を回して手の平で受ける。
独楽が手の平の上で
回転している時だけ走ることができるというルール。
ジャンケンをして鬼を決める。
鬼が決まった途端、
皆は回した独楽を手の平で受けて逃げ出す。
鬼も手の平の上で独楽を回しながら皆を追いかける。
鬼にタッチされれば、
タッチされた者が鬼に代わる・・・というルール。
昔、私の家の右隣に「Sちゃん」という男の子が住んでいた。
Sちゃんは私より一歳年下であった。
Sチャンは聾唖であったが、
いつも皆といっしょに遊びたがった。
皆と「独楽回しの鬼ごっこ」をしたがった・・・。
どうすれば聾唖のSちゃんにルールを伝えることができるか、
それを皆で相談したことがあった。
「まずは一緒に遊ぼう」
「初めのうちはSちゃんには鬼をやらせないでおこう」
「Sちゃんがルールを理解しだしたら、Sちゃんにも鬼になってもらおう」
それが皆の出した答だった。
しかし、Sちゃんは独楽を手の平で受けることができなかった。
「Sちゃんには手の平で独楽を受けられるよう練習をしてもらおう」
「それまでは空き缶の蓋で独楽を受けてもいいことにしよう」
それが皆の出した答だった。
しかし、
「手の平よりも缶の蓋の上の方が独楽はよく回る」
「それは自分たちにとって不利ではないか」と言う奴もいた。
ま、後でこいつは仲間はずれにされていくことになるのだが・・・。
傷害を持つ者と、そうではない者が同じルールに則って遊ぶ。
不利な条件を背負った人間と接することがあれば、
健常である側の人間がハンディキャップを背負う・・・。
大人の社会とまったく同じこと。
子どもは遊びを通じて人と人のつながりを覚えていく。
昨日の日記を書いていて思い出した昔話・・・。