■ 人夢可酒

aquio2006-01-23

日本中がバブル景気に沸いていた頃、
一世を風靡した越後の酒があった。
先月、
その酒が長岡の酒屋で安売りされているのを見た。
「なぜこんなに安いのですか?」という私の問に、
「もともとこれはそんなに美味い酒ではなかった」
「それがなぜあんな高値で取引されたのか解らない」
「実力以上に評価されたのだと思う」
「誰かが仕掛けたブームだったのでしょう」
「ま、バブルの時代でしたから・・・」と、
酒屋の亭主は笑ってそう答えた。
昨夜、馴染みの酒屋で一本の酒を買う。
「人夢可酒」という名の焼酎。
「人夢可酒」と書いて「ひとむかし」と読むらしい。
「騙されたと思って飲んでみろよ」という亭主の言葉に押されて買ってしまった。
試しに「yahoo」で「人夢可酒」と検索してみる。
「あの『百年の孤独』の十分の一の生産量しかない」とか、
「地元でも入手困難な幻の酒」とか、
「人夢可酒」を称える賛辞や麗句がそこには並んでいた。
しかし、
酒屋で金を出せば買える酒のいったいどこが「幻」なんだろうか・・・。
「多恋人/たれんと」や「歩絵路/ぽえじー」と同じ類、
場末のスナックのような、
その「人夢可酒」というネーミングにもなんとなく違和感を覚える・・・・。
ま、しかし、そのような風評や思い込みに惑わされることなく、
今夜はじっくりと自分の舌で「人夢可酒」を味わってみよう。
とても楽しみ・・・・。
「酔へばあさまし 酔はねばさびし」種田山頭火
ま、そこまで量は飲めないけどさ・・・。