■ 軍鶏鍋

aquio2006-01-30

Yさんと、その息子のJ君とT君、
そして私の四人で軍鶏鍋を囲む。
奥さんは風邪をひいて寝込んでいるらしい。
「今夜は俺がもつよ」とYさんが言う。
遠慮なくご馳走になることにした。
どうやら私に相談事があるような・・・。
まずはビールで乾杯。
J君とT君の食べることといったら、
アッという間に四人前の軍鶏がなくなる。
腹が一杯になったところで本題に入る。
どうやら、
T君は私の仕事を覚えたいという希望を持っているらしい。
「本気?」と訊くと、「本気!」という返事。
からくり人形の制作で飯を食っていきたいと言う。
私の技術は私だけのものである。
しかし、
それを棺桶の中に持ち込むわけにもいかない。
継承できるものであれば継承していっていただきたい。
私に出来ることであれば何でもしたいと思うが、
今の私にはそのことに割く時間がない。
一日が三十六時間であれば・・・。
T君に「通信教育方式」を提案する。
まず、簡単なからくりの図面とサンプルをT君に送る。
T君は図面とサンプルを見ながら制作に取り組む。
出来上がった作品に私が批評を加える。
これを繰り返せば、ま、なんとかモノにはなるのではないだろうか・・・。
英会話教室がその好例だろう。
教室に通えば英話が喋れるようになるとは限らない。
努力をしなければ英語は喋れない。
結局は自分で努力するしかないのだ・・・。
伸びる人間は自分で自分を伸ばす。
酔いを醒ますため少し歩くことにした。
深い霧の中をアパートまで歩いて帰る。
髪の毛がしっとりと湿ってくる。
なんだか気分がいい。