■ チョコレート・ケーキ
今日はアパートに妻と母がやって来ているはず。
土産にチョコレート・ケーキを購入する。
彼女たちは甘いものに目がない。
目はないが、
よく喋る口とよく食べる口は・・・ある。
チョコレート・ケーキでポイントを稼ぐことにした。
その昔、
青山に「ココ・パームス」という名のレストランがあった。
この店のチョコレート・ケーキは絶品であった。
いわゆる「大人の味」ってやつ。
東京土産は「ココ・パームスの・・・」と、そう決めていた時期があった。
「ココ・パームス」は美味しい料理を提供してくれる店でもあったが、
今もそこにあるのだろうか・・・・。
私が「ココ・パームス」の存在を知ったのは今から三十三年ほど前のこと。
東京で会社勤めをしていた頃だった。
その頃、私は末広町と青山の間を行ったり来たりしていた。
仕事をサボってはこの店でコーヒーをよく飲んだものだった。
今日は東京駅で「TOPS」のチョコレート・ケーキを買う。
さて、妻たちはこのケーキにどのような評価を下すであろうか・・・。
ケーキを土産にしたからといって、
それが私という夫、または息子の評価につながるとは限らない。
ケーキの味が私という人間の評価を大きく左右するのだ。
ケーキが不味ければ、
「こんな不味いケーキを買ってきて」と、私の評価が下がるのである。
気苦労が絶えない・・・。
私の体重は約六十六キロ、身長は一七三センチ。
結婚してからというもの、
体重は増えもしなければ減りもしていない。
若い頃の体形をそのまま維持していられるのも、
彼女たちへの気苦労が絶えないせいではないだろうか・・・。
私の辞書に「肥満」という言葉はない。
しかし、彼女たちの辞書には三ページに渡って書かれているに違いない。