■ konnichiwa

aquio2006-03-14

「Erzgebirgiches Spielzeugmuseum Seiffen」
ザイフェン玩具博物館の館長
「Konrad Auerbach/アウアーバッハ」さんから
一通のメールが届く。
メールには一通のファイルが添付されていた。
ファイルを開いてみると、
私の個展の記事が掲載された新聞の切り抜きであった。
記事のタイトルは「Konnichiwa」であった。
現地ではそうとう盛り上がってきているらしい。
今から百年ほど前、
一人の日本人がこの村を訪れたことがあったらしい。
この日本人はザイフェンの技術を盗みにいったのだという。
その話は去年の三月十四日の日記に詳しく書いたが、
以来、この村では「日本人=泥棒」ということになっている。
その話を現地で聞かされた時、
とても悔しく恥ずかしい思いをしたことを思い出す。
先日、六冊ほどのスケッチ・ブックを現地に送った。
長年にわたって温めてきた、
私のおもちゃ作りのアイデアがそこには詰まっている。
「スケッチ・ブックの中から五十点ほどのスケッチを使いたい」
「スケッチを大きく引き伸ばして壁面を飾りたい」
「君のアトリエのイメージを博物館の中に再現しようと思う」
「しかし、大きな心配事が一つある」
「ザイフェンの職人が君のアイデアを盗まなければいいのだが・・・」
昨日、アウアーバッハさんからそのような意味の連絡を受ける。
今回の個展には
百年前の日本人の雪辱を果たすという意味もあるのだ。
その日本人がどこの誰であったかは知る由もないが、
私の個展がきっかけとなり、
日本とドイツのおもちゃ職人たちの交流が始まればいいと思う。
ことは「盗む」「盗まれた」ではないのである。