■ THE BIRDS OF AMERICA
久しぶりに家に帰る。
やはり自宅は居心地がいい。
家族と食事を終えた後、書架の整理を始める。
目当ての本はすぐに見つかった。
自然保護団体「オーデュボン協会」の祖とされる
「JOHN JAMES AUDUBON」が一八三八年に著した
「THE BIRDS OF AMERICA」。
「THE BIRDS OF AMERICA」は、
一八二七年から十一年もの歳月をかけて描きあげられた。
本には北アメリカ大陸に生息する
四百三十一種もの鳥類の絵が描かれている。
探していたのは、その「THE BIRDS OF AMERICA」の復刻版。
本の重さは三キロを越える。
相当重い、相当でかい・・・。
一九六六年、「TEH NEW-YORK HISTORICAL SOCIETY」から復刻されたもの。
三十五年ほど前、青山の「嶋田書店」で買ったと記憶している。
当時の私には高価すぎる本であった・・・。
今はそれほどでもないが、当時の私は「鳥」に狂っていた。
鳥の名前もいろいろと覚えたものだった。
それにしても、
ヨーロッパで日本文化のブーム、
いわゆる「ジャポニスム」のブームが起きたのは十九世紀の後期のはず。
「オーデュボン」は一八五一年にこの世を去っている。
「ジャポニスム」は「オーデュボン」の死後に起きた運動だが、
どういうわけか、「オーデュボン」の絵には「ジャポニスム」の雰囲気が漂っている。
浮世絵のトリミングの技法が随所に見られる・・・。
ものの本によると、
「オーデュボン」は「ダビッド」という人物に絵画を習ったとされているが、
この「ダビッド」という人物がどのような経歴の持ち主であったのか、
そのあたりがまったく分からない・・・。
「ダビッド」はどこで浮世絵の技法を身につけたのだろうか。
それとも、浮世絵に似ているのはまったくの偶然なのだろうか・・・。
本はアパートに持って帰ることにしよう。
いろいろと調べてみることにしよう。