■ MALCOLM BROOK/マルコム・ブルック

aquio2006-04-18

ドイツに住むからくり人形作家、
「MALCOLM BROOK」から一通の封書が届く。
封を切ると、
「バタバタバタ・・・」という大きな音とともに、
中から何かが飛び出してきた。
「ワッ」と驚いて封筒を投げ出してしまったが、
飛び出してきたのは、
紙と輪ゴムと針金でできた「蝶々」だった。
そして、便箋には
「俺は今年で六十一歳になる」
「俺は君よりもベビーなんだぜ」と書かれてあった。
彼と出会ったのは今月の七日。
ザイフェンにおける私の個展会場においてであった。
「日本では六十歳を還暦と呼ぶ」
「年齢がゼロにリセットされる」
「六十歳になれば人は赤ちゃんに戻る」
「その記念の年にザイフェンで個展を開くことができて嬉しい」と、
オープニングのパーティで私はそう挨拶した。
その挨拶を彼は憶えていたようである。
だから、「私は君よりもベビー・・」と書いてよこしたのだろう。
数年前、
ローマの「MODERN AUTOMATA MUSEUM」において
からくり人形による「AGAIST THE WAR」展が開かれた。
彼はその展示会にミサイルをモチーフにしたからくり人形を発表していた。
私は戦争によって多数の人間が殺されていくことを憂う
「REQUIEM」という作品を発表した・・・。
お互いのことは作品を通じて知ってはいたが、
出会うのは今回が初めてのことであった。
「これからはお互いにコンタクトを取り合おう」、とザイフェンで約束した。
返事を書かなければ。
蝶々の返礼をしなければならない。
どうやって驚かせてやろうか・・・。