■ 百合

aquio2006-06-12

昨夜から自宅に帰ってきている。
玄関の扉を開けると、
家の中には百合の香りが充満していた。
百合は私の一番好きな花。
Fさんご夫婦から頂戴した百合であるらしい。
百合の鱗茎、いわゆる「ゆり根」は
「百合/びゃくごう」と呼ばれる漢方薬
鱗が幾重にも合わさっているような根であるから、
百合は「百合」と呼ばれるようになった。
細い茎の先に大きな花を咲かせる百合は、
少しの風でも大きく揺れる。
百合の語源は「揺れ」であると、
そんな話を漢方医のNさんから伺ったことを思い出す。
今から二十七年前、
私は生死の境を彷徨ったことがあった・・・。
「病の原因が見つからない」
「原因がみつからないから、治す方法も見つからない」と、
医者からは見放された病であった。
「人間には自然に備わった治癒力がある」
「まずは、その治癒力を高めよう」
「俺の言うとおりに一年間を過ごせ」
「俺がお前の病を治してやる」と、
その病を治してくれたのが、漢方医のNさんだった。
薄皮を剥ぐように、身体が少しずつ元気になっていく。
人間には治癒力がある。
そのことを実感した一年であった。
百合の香りを嗅いでNさんのことを思い出す。
そのNさんともしばらくお会いしていない。
奈良に出かけることがあれば、
Nさんの好きな酒をぶら下げて会いにいってみよう・・・。