■ 黄昏アンソロジー
人形劇団「みのむし」の
「飯室康一」さんがアトリエにいらっしゃる。
新作「黄昏アンソロジー」の人形を見せていただく。
主人公はヨレヨレのスーツを着た、
どこにでもいそうな酔っ払いのオッサン。
スラックスのチャックは開きっぱなし。
スラックスの前からワイシャツの裾がはみ出ている。
酔っ払った挙句、ところ構わずゲロは吐くは、
クシャミをした途端に青洟は垂れるは・・・と、
サラリーマンの悲哀を
一身に背負ったようなキャラクターの持ち主であるらしい。
人形の髪は「八二」に分けられていて、
風が吹くと薄い髪が大きく煽られるように作られている。
「黄昏アンソロジー」では、このオッサンの他に、
「危ない感じのオバサン」と「ヤンキーのお兄さん」も登場するらしい。
その登場人物の設定を聞いただけで大笑いしてしまう。
「アンソロジー」とは詩文の選集のこと。
つまりは「詞華集」のことであるが、
人形を見るかぎりでは、
「華」は「洟」の間違いではないかと思えてくる。
それにしても、実によくできている人形ではある。
その寝息までも聞えてきそうではないか。
この秋の初演に向けて鋭意練習中とのことだが、
なんと、この人形はオシッコまでしてしまうらしい。
そのシーンを想像するだけで笑えてくるが、
できれば、
人形のオシッコはチョロチョロと出させてもらいたいものである。
「なんやしらんけど、この頃オシッコのキレが悪うなってきたなぁ・・・」
「前立腺が肥大してるんとちゃうやろか!?」
「とうとうコレもオシッコするだけの道具になってしもうたなぁ」、とかなんとか、
ぜひ、そんな台詞を人形に呟かせてもらいたいのである。
それでこそ「黄昏」というものではないだろうか・・・。
次に会った時、飯室さんにはそのように提案しておこう。