■ 黄昏アンソロジー/初日

aquio2006-08-31

「飯室康一」さんの人形劇、
「黄昏アンソロジー」より「乗り遅れた男」を観る。
登場人物(人形)は、
漫画を片時も話さないヤンキーの兄ちゃん、
大きな買い物袋を提げた独居老人らしき老婆、
酔っ払った中年のサラリーマン、・・・の三人。
人形劇は無言のまま進行してく。
聴こえてくる音といえば、
時折ホームを通過していく列車の音だけ。
ベンチで酔い崩れてしまうサラリーマン。
サラリーマンに寄り添うように寝入ってしまう孤独な老婆。
そんなシーンで物語りは終わる。
抱腹絶倒の物語であったが、
その最後のシーンでは胸がつまってしまった。
「都会の孤独」がテーマの物語であったのだ。
寂しさを抱えて生きている人々の物語。
男はなぜ酒を飲むのか・・・?
サラリーマンの社会では様々な出来事が起きる。
得意先に土下座をしなければならないこともあれば、
上司から罵倒されることもある。
先方から理不尽な要求を突きつけられることもある。
仕事上の鬱憤を家庭の中にはとても持ち込めない。
家族相手に愚痴は言えない・・・。
酒でも飲まなければやっていられない。
男は酔っ払うことによって正気に戻る。
酔っ払い、正気に戻ってから家に帰るのだ。
酔っ払うことによって、
男はサラリーマンから夫に戻り、父親に戻る・・・。
しかし、
そんな男の孤独を家族は決して理解しようとはしない。
理解されないから、男は今夜も酒を飲む。
そうではないだろうか・・・!?
人形劇を観ながらそんなコトを考えていた。