■ 山の上ホテル

aquio2006-09-14

神田駿河台の「山の上ホテル」に泊まる。
部屋で寛いでいると、
控えめなノックの音が聞えた。
扉を開けると、
トレーを両手に持った女の子が立っていた。
トレーの上には熱いお茶と冷えた杏仁豆腐。
宿泊客へのサービスだという。
杏仁豆腐をいただきながら、
「ラインフェルデン」を訪れた時のことを思い出していた。
「ラインフェルデン」はバーゼル近郊の小さな町。
宿は「EDEN」という名の小さなホテルだった。
荷を置き、散歩から戻ってくると、
部屋のテーブルの上には冷えた一房の葡萄が置かれていた。
皿には、「お召し上がりください」と書かれたカードが添えられていた。
白い壁、白い窓枠、白いカーテン、白いベッド・カバー、
白いテーブル、白い椅子・・・。
すべてが白で統一された部屋。
その白い部屋の白いテーブルの上に、
薄緑色の葡萄が白い皿に載せられて置かれていた。
「うわぁ、やられたぁ・・・」
それがその時の私の感想であった。
なんてスマートで格好いいのだろうか・・・。
その一件だけで、
私はすっかり「EDEN」のもてなしに魅せられてしまった。
「EDEN」ほど格好は良くないが、
いつ泊まっても、
山の上ホテル」には「EDEN」と同質のホスピタリティを感じる。
デザイナーズ・ホテルと言うのだろうか、
格好ばかりつけているホテルが多い中、
山の上ホテル」のもてなしには、いつも経営者の哲学を感じる。