■ 結婚式

aquio2006-09-18

Pホテルに勤務されていたNAさんには
お世話になりっぱなしであった。
「結婚する時は知らせてな」
「お祝いに作品を一つプレゼントするわ」
かねてから、私は彼女にそう約束していた。
今朝、手帳を見ると、
今日九月十八日の欄には
なにやら暗号めいた文字と記号が記入されていた。
「◎ P 11〜」
今日はNAさんの結婚式であったのだ。
場所はPホテル。
式は午前十一時から始まる。
そのことをすっかり忘れていた・・・。
彼女のために作り置いていた作品を慌てて包装し、
車を走らせ、Pホテルまで駆けつける。
Pホテルに辿り着いたのは、十時半を少し過ぎていた。
ホテルのフロントでHさんを呼び出していただく。
HさんはNさんの上司でいらっしゃる。
Hさんも今日の結婚式に列席されるはず。
しばらく待っているうち、NIさんから声をかけられる。
どうやら、Hさんはスピーチの練習に余念がないらしく、
ホテルの中で行方不明になっていらっしゃるらしい。
NIさんにチャペルまで連れて行っていただく。
チャペルでは式のリハーサルが始まっていた。
やれやれ間に合った・・・。
プレゼントを手渡したとたん、彼女は泣きだしてしまった。
私が約束を忘れなかった、そのことが嬉しかったのだろう・・・。
美しい花嫁姿であった。
しかし、正装した方々が居並ぶ中、
コットン・スラックスを穿いて駆けつけた私を見て、
親族の方々はどのように思われただろうか・・・。