■ 女郎蜘蛛

aquio2006-09-30

婚姻色とでも言うのだろうか、
「女郎蜘蛛」は
糸を出す穴の辺りを真っ赤に変色させることがある。
その赤い色を女性の「蹴出し」、
いわゆる「裾除」の色に見立てたことから、
この蜘蛛は「女郎女郎」と呼ばれる。
この場合の「女郎」は「遊女」を差す言葉ではなく、
広く「女性」を差す言葉であるらしい。
今日、久しぶりに「女郎蜘蛛」を見つける。
その巣も、かなり大きい。
身体を隠し、細い針金で巣の端をつついてみると、
糸の振動をキャッチした蜘蛛は、
ススス・・と、糸が震える方向に移動を始める。
獲物が糸にかかったと勘違いするのだろう。
「女郎」が「遊女」を差す言葉ではないとはいえ、
「女郎蜘蛛」という言葉には、
なんとも言えない、ドロドロとした色気のようなものを感じてしまう。
そういえば、
伊豆の浄蓮の滝の主は、この「女郎蜘蛛」であるという伝説がある。
蜘蛛は人の足に糸を絡ませ、
滝の中に引きずり込んで食ってしまう、という。
民話では色白の艶やかな女として登場する・・・。
「女郎蜘蛛」の巣は常夜灯のすぐ近くに張ってあった。
虫たちが明かりに引き寄せられて集まってくる。
「女郎蜘蛛」は、そんな虫たちの体液を吸いとろうと、
息を潜めてジッと待っている・・・。
昔、「蜘蛛女」というタイトルの映画があった。
女の色香という糸に絡めとられ、
身を滅ぼしていく男の物語であったように記憶している。
うっかり糸にかかってしまうのではなく、
自らすすんで糸にかかる男のなんと多いことか・・・。
ま、確かに、男にはそういう部分がある。