■ 得月

aquio2006-10-04

先日、新潟県長岡の酒屋において、
いろいろな酒を試飲させていただいた。
そのことは九月二十八日の日記に書いた。
一昨日、その酒屋から「得月」が届く。
「得月」と書いて「とくげつ」と読む。
「水に浮かんだ月を観る」、というような意味か。
「越乃かぎろひ」「菊水」・・・と、
試飲させていただいた酒々の中で、
この「得月」が一番美味かった。
名酒は限りなく真水に近いと言うが、
その喉越しといい、その香りといい、
まさしく「得月」は名酒であると思う。
「得月」は、あの「久保田」の「朝日酒造」が造る季節限定の酒。
今年の中秋の名月は十月六日になるらしい。
名月を愛でながら、美味い酒を飲もう・・・。
六日までは手をつけないつもりでいたが、
「花に嵐・月に群雲と言うではないか!」
「当日、雨が降ったらどうする?」
「六日は六日で別の酒を飲めばいいのではないか!」、と
とうとう「得月」の封を切ってしまった。
いやはや美味いのなんの。
炙ったメザシを齧りながら「得月」を飲む。
秋の虫の声が聴こえてくる。
「けりかも」という言葉がある。
下手な歌や歌人をののしる時に使う。
助動詞の「けり」や助詞の「かも」を多用するところから出た言葉。
若山牧水「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒は静かに飲むべかりけり」
aquio 「中秋の腑にしみわたる得の月虫は静かに鳴くばかりけり」
ふむ、やはり本歌取りは難しい。
私の歌は「けりかも」であるなぁ・・・。