■ ともゑ米
「日色ともゑ」さんと知り合ったのは、
岡山県津山市で開かれた「詩の朗読の会」であった。
今から十年ほど前のことだったと記憶している。
日色さんの朗読は素晴らしいものであった。
さすがは女優、そもそも声の色艶が違う・・・。
その声の持つ力にいたく感動した私は、
「貴女を私の住む村にお呼びしたい」
「ぜひ、私の村でも朗読をお願いしたい」と、
厚かましくもお願いしたことがあった。
その時の日色さんの答えは、
「私のギャラは高いわよ!」、であった。
「私の家にお招きします」
「私の作る料理を召し上がっていただきたい」
「味は保証できません」
「私の家の裏庭には枝振りのいい桧が何本も生えている」
「その内の三本を貴女にプレゼントします」
「ともゑ桧と名付けて大事に育てます」、と答えたことを思い出す。
日色さんの答えは、
「そんなにたっぷりとギャラがいただけるのなら、行きましょう!」、であった。
それから日色さんとのお付き合いが始まるのだが、
今朝、日色さんから新潟の米が届く。
日色さんが田植えをされた米。
毎年、新潟の田圃で田植えをされると聞いている。
収穫された米は「米工房・いわむろ」から日色さんのもとに届けられる。
この米は「ともゑ米」と呼ばれているのだが、
どうやらこの米も、
「いわむろ」の方々が日色さんに支払っているギャラであるらしい。
あれから十年。
裏庭の「ともゑ桧」は大きく育っている。