■ 雪・雪・雪・・・
昨日から岡山の自宅に戻っている。
今朝は大きな雷の音で眼が覚める。
時間は午前六時。
窓の外には暗く鈍い鉛色の空が広がっていた。
「雪!?」
慌てて飛び起きる。
庭には二十センチほどの雪が積もっていた。
二十メートルほど先の景色が見えない。
庭に停めておいた車の屋根がボンヤリと見える。
どうやら、この雪は一日中降り止みそうにもない。
今日は五十キロほど離れた町に出かけなければならない。
約束した時間は午前九時。
普段なら車で小一時間ほどの距離だが、雪の降る日はそうもいかない。
午前七時三十分、自宅を出発する。
景色のすべてが鉛色に染まって見える・・・。
まるで薄墨を流したような陰鬱な景色ではあるが、
これはこれで、とても美しく感じられる。
道路を渡っていったウサギの足跡が点々と見える。
道路についた轍の跡を避けて車を走らせる。
バックミラーには車輪が巻上げた雪煙が映っている。
雪はすべての音を吸収してしまう。
車内にはエンジンがたてるかすかな音しか伝わってこない。
とても静か・・・。
ラジオのスイッチを入れ、ダイアルをFM局に合わせる。
シフトをセカンドからサード、サードからトップ、
トップからセカンド・・・へと道路状況に合わせながら車を走らせる。
雪道の運転はとても楽しい。