■ 狐と狸

aquio2007-01-08

麓に降っていた雨は、
家が近づくにつれて雪へと変わっていった。
私の家は標高六百五十メートルの山肌に建っている。
雪が降りしきる中、車を慎重に走らせる。
あと少しで家、という時、
いきなり二匹の狐が目の前を横切っていった。
道路を渡り終えた狐は、
安全な距離を保ちながら私の車の動向を窺っている。
危害が及ばないと判断したのだろう、
背を向けたかと思うと、
トットット・・・と、森の中に姿を消していった。
なんて頭がいいのだろうか・・・。
社交ダンスに「FOX TROT/フォックス・トロット」というステップがあるが、
本物の狐の「フォックス・トロット」は雪の中でもとても軽やか。
話は変わるが、
狐に比べ、狸の判断力は数段劣る。
車のライトに驚いた狸は、必ず車の直前を横切ろうとする。
そのまま横切ってしまえば問題はないのだが、
狸は必ず道路の中央辺りで逆戻りを試みるのだ。
その一瞬の躊躇が、不幸を招く・・・。
狐の轢死体は見かけないが、狸の轢死体は、よく見かける。
狸はパニックを起し易い動物なのだろう・・・。
よく「狸寝入り」という言葉を使うが、
狸は人を騙そうとして「寝入る」のではなく、
パニックを起して「失神」してしまうに違いない。
それにしても、
狐が雪原を駆ける姿はとても美しいものだった。