■ ドイツ出張・六日目・SEIFFEN
今日から明日の午前にかけて、
十二ものアトリエを訪れなければならない。
私にとっては訪問済みのアトリエばかりなのであるが、
職員のNとTにとっては始めての「ザイフェン」。
今回の旅には、職員の研修という大きな目的があった。
動くおもちゃを専門に作っている
「WOLFGANG WERNER」のアトリエを皮切りに、
ライフェンドレーンの名手であり、
「WOLFGANG」の兄である「CHRISTIAN」、
そして、彼らの父である
「WALTER WERNER」さんのアトリエを訪問する。
スープとパンという簡単な昼食をとった後、
小さな花のおもちゃを作っている「LEICHSENRING」、
玩具生産者協同組合である「DREGENO」の顧客センター、
くるみ割り人形の老舗である六代目「FUCHTNER」のアトリエ等を次々と訪問する。
どのようにしておもちゃが作られていくのか、
職人達の技術の確かさを目の当たりにしたNとTは、
ただただ深い溜息を漏らすだけであった・・・。
午後九時、
「ペテルスベルク玩具博物館」のオーナーでいらっしゃる「MARI」さんとお会いする。
今年の九月、
「MARI」さんの博物館で私の個展を開いていただけることになっている。
しかし、ロシアという大きな国が抱える国情のせいで、
個展の実現までには様々な問題が横たわっている。
国家公務員でさえ、賄賂を当然のように要求するお国柄であるらしいのだ。
賄賂を贈らなければ、作品を通関させることすらままならないという。
輸送の途中でモノが忽然と無くなってしまうことも、日常的にあるという。
しかし、私に会うため、わざわざザイフェンまで駆けつけてくださった、
その「MARI」さんの熱意にはなんとか応えたい、と思うのだが・・・。