■ 雛祭り

私は男三人兄弟の長男である。
父は男三人兄弟の次男であった。
そして、私の息子たちは男ばかりの三人兄弟である。
三代に渡り、男三人兄弟という状態が続いている。
世間では「呪われた家系」、
と密かに囁かれているようであるが、
そのせいで、我が家には雛人形が無い。
菱餅を食べたという経験もなければ、
甘酒をご馳走になったという経験もない。
雛を飾り、子の健やかな成長を願う。
一度はそういうことをしてみたい、と思うのだが・・・。
孫に女児が産まれることを期待するしかないが、
三人の息子たちには女の気配が、ほとんどない。
いつになったら孫を抱く日が来るのだろう。
しかし、孫に女児が産まれたとしたら、
祖父としてその子とどのように接すればいいのだろう。
そのあたりのことがまったく分からない。
自転車の乗り方、独楽の回し方、凧の揚げ方、ボールの投げ方、
コブラ・ツイストのかけ方・・・は教えてやれるのだが・・・。
人の一生は本当に短いものである。
そして、子どもが子どもでいられる時間はもっと短い。
子どもは遊びを通じて様々なことを学び取っていく。
その子とは出来るだけ長く一緒に遊びたい、と願うが、
はたして女児は産まれてきてくれるのだろうか。