■ パステル

aquio2007-03-06

神戸の画材屋でパステルを買ったことを思いだし、
押入れの中から
「NOUVEL CARRE」四十八色のセットを取り出す。
パステルで絵を描くのは何年ぶりになるだろう。
紙にパステルを塗りつけ、
指を使って薄く引き伸ばしてみたりするうち、
指先の感覚が戻ってくる・・・。
身体で覚えたことは何年経っても忘れない。
綿棒や筆を使い、
その効果の違いを確かめたりする。
色には色々な思い出がある・・・。
<013番・紫>
「オッ、この色はあの映画に出ていた売春婦の唇の色だな」
「エ〜ッ、あの映画のタイトルは何ていったっけ・・・?」とか、
<040番・オレンジ>
「オォ、これは長男のDに買ってやった野球帽の色ではないか」
「あの帽子は原宿のキディランドで買ったんだっけ」
「そのDも今年で三十三歳かぁ・・・」とか、
<147番・茶色>
「この色は死んだ婆ちゃんのイメージだな」とか、
<105番・群青>
裏磐梯に住んでいた頃、夜空の色はちょうどこんなんだったなぁ」
「そういえば、アルバイトのS君は何歳になったのだろう」
「もう五十歳は越えているに違いない」、とか、
昔のことを色々と思い出す・・・・。
十八歳の頃、奈良の長谷寺に行ったことがあった。
パステルで牡丹を描く」、それが表向きの理由だったが、
Sちゃんとのデートが本来の目的だった。
Sちゃんはまだ絵を描いているのだろうか・・・。
存命であれば、きっと素敵なお婆さんになっていることだろう。
Sちゃんのイメージは<106番・ブルー>。
水のようにサラサラとしたイメージの女の子だった・・・。
四十八色、それぞれの色の発色具合は確認できた。
もう少し暖かくなれば、スケッチの旅にでも出かけてみよう。
長谷寺がいいかもしれないな。