■ 地獄に堕ちた勇者ども
「MONTENEGRO」を飲みながら、
「地獄に堕ちた勇者ども」を観る。
この映画を初めて観たのは三十七年ほど前のこと。
確か、私が二十三歳の頃だった・・・。
映画を観終わった後、
「木村屋」という名の喫茶店であったと思うが、
「ルキーノ・ビスコンティ」の美意識について
N君と熱く語り合ったことを懐かしく思い出す。
人間の醜さを美しい映像で描いた映画・・・。
この映画の原題は「THE DAMNED」。
「永遠に呪われた者」とか、
「地獄の亡者たち」という意味を持つ言葉であるらしい。
権謀術数に長けた母親を演じていたのが、
ビスコンティ映画の常連であった「イングリット・チューリン」。
結婚式を挙げた後、
「ダーク・ボガード」演じるフリードリッヒと、
「イングリット・チューリン」演じるソフィは服毒自殺を強いられるが、
その最後のシーンにおいて、
「チューリン」の口から一筋の赤い「血」が流れ落ちる・・・。
「チューリン」の白い顎を伝う赤い「血」。
そのシーンに、私は身体が震えるほどの「美」を見た。
そのシーンの美しさを鮮明に憶えていたのだが、
昨夜に観たDVDでは、その「血」が消えていた。
あの口から流れ落ちる「血」は見間違いだったのだろうか・・・。
それとも、どこかで誰かが修正を加えたのだろうか。
それとも、あの赤い「血」は私の脳が作り出した「色」だったのだろうか・・・。
よく分からない・・・。
「地獄に堕ちた勇者ども」は「ビスコンティ」による「ドイツ三部作」の内の一つ。
「ベニスに死す」も「ルードヴィヒ」も観直してみることにしよう。
そうそう、「愛の嵐」も観なくては・・・。