■ 自転車・その2
昨日は寒かった。
六甲山には霙が降り、雪が降った。
午後七時、
職場の辺りの気温は摂氏四度を下回っていた。
その寒さのなか、自転車に乗って帰る。
ペダルを漕ぐうち、身体がポカポカと温まってくる。
腹が減ったので、G町のおむすび屋に向かう。
おむすび屋は定休日であった・・・。
仕方がないから、A町のカフェJに向かう。
カフェJは臨時休業であった・・・。
とことん、付いていない。
この辺りには美味いものを食わせる店が少ない。
仕方がないから、アパートに戻ることにする。
A町からアパートまでの道程は約四キロ。
そのほとんどが上り坂である。
少し走ると息が切れる。
脚が痙攣を起したようにプルプルと震える。
少し休む・少し走る・息が切れる・少し休む・少し走る・・・。
そのことの繰り返し・・・。
寒さで顔が強張ってくる。
鼻の下に手をやると、水っ洟が垂れていた。
「自転車で通勤する」と宣言した時、
周りからは「年寄りの冷水」と冷やかされた。
しかし、まさか「年寄りの鼻水」を垂らすことになろうとは。
あぁ、なんて情けないのだろうか・・・。
道路に小さなモノが無数に落ちているのを見つける。
椿の花だった。
今朝の霙に打たれて落ちたのだろう。
午後九時、アパートに帰りつく。
鏡を見ると、洟の痕が白く固まっていた。
食事の用意を整える気力がない・・・。
冷凍庫の中を探ると、一食分のカレーがあった。
温めて食べる。
昼にもカレー・ライスを食べたばかりであった。
あぁ、実に情けない・・・。
しかし、自転車は面白い。
いつもの町の景色が違って見える。