■ 評判

aquio2007-05-02

この七月、
東京から大事なお客様が神戸にいらっしゃる。
二晩にわたり接待をしなければならないのだが、
つまらない店にはお連れできない。
会計士のMさんと三宮でお会いした後、
ふと思いつき、某有名割烹に向かう。
今、神戸で評判の店。
店のアプローチの部分には
しっとりとした雰囲気があり、とてもよろしい。
「予約を入れておりませんが、席はありますか」
「一人です」、と玄関で仲居さんに告げたとたん、
「しまった、来るんじゃなかった」、と後悔する。
仲居さんの白足袋の裏が真っ黒に汚れていた・・・。
足袋の裏が汚れているということは、
掃除が行き届いていない、ということを意味する。
ま、しかし、入ってしまったからには仕方がない。
覚悟を決めてカウンター席に座り、足元に眼をやったところ、
果せる哉、私の茶色の靴下の裏は白く汚れてしまっていた・・・。
一事が万事、という。
壁に飾られた額縁が斜めに歪んでいる。
衣桁にかけられたハンガーが歪んだまま放置されている。
部屋の隅には薄っすらと埃が溜まっている。
もうこうなると、粗探しが楽しくなってくる。
我ながら困った性分だとは思うが、
細かなコトが気になって仕方がない。
五感に障るのだ。
料理はまあまあの出来であったが、
大事なお客様をお連れするには、
とてもとても及第点をあげられるような味ではなかった。
恰好をつけただけの店であった。
別の店を探すことにしよう。