■ 三十路パーティ
職員のI君の家はとても広い。
六畳間が四つ、八畳間が二つ、
四畳半の部屋が二つ、
それに台所と風呂とトイレがついている。
「8DKD」の一軒屋。
最後の「D」は「土間」の「D」である。
広い土間付きの一軒家にI君は一人で住んでいる。
家賃は二万五千円という破格の安さなのだが、
家財といえば、冷蔵庫と炊飯器、
ベッドとくたびれきった単車だけ、という貧しさ。
ま、若いうちはそれで十分なのだが、
本人はその何もない生活を十分に楽しんでいる様子・・・。
稀に見る好青年ではあるね。
で、昨夜はそのI君の家に職員の全員が集合する。
職員のMさんのバースデー・パーティ。
「Mさん三十路おめでとうパーティ」を開く。
パーティのメインとなる献立は「味噌味キムチ鍋」。
「三十路だから味噌味キムチ鍋」、
という、ワケのわからない理由の献立・・・。
「何か一品持ってこい」、というので、
豚肉のソテーと烏賊の刺身を持参する。
皆が持ってきたのは、ゴムのように硬い鰻の蒲焼、
出来損ないのスゥイート・ポテト、
賞味期限すれすれのグレープフルーツ・ジュース、
キャベツだけの野菜サラダ・・・等々であった。
ケーキを食べた後、
宴会の後には恒例となっている「ボードゲーム」大会を開く。
昨夜のゲームは「ハゲタカの餌食」。
簡単なルールの心理ゲームだが、結構盛り上がる。
若者と触れ合うのは本当に面白い。
「俺も若い頃はこうだったな」、とつい感傷に浸ってしまう。
久しぶりに酔っ払ってしまった。
主賓のMさんに自宅まで送っていただく。
楽しいひと時だった。
「味噌味キムチ鍋」も美味しかった。