■ 有害獣駆除

aquio2007-06-04

我が家の庭には、高さ五メートルを超える
合歓の木が十五本ばかり生えている。
一昨年の秋、
山に棲む鹿がその樹皮を食べてしまったことがある。
いわゆる鹿の「樹皮喰い」なのだが、
樹皮喰いにあった樹木は枯れるしかない・・・。
被害にあった合歓の木の多くは枯れてしまったが、
半数ほどの合歓の木はまだ生きていてくれている。
今年もその枝の先に小さな葉をつけだした。
今、鹿による農作物への被害が甚大であるという。
地元の猟友会による、
いわゆる「有害獣駆除」が頻繁に行われているが、
昨年は岡山県だけでも約一七〇〇頭以上の鹿が射殺された、という。
天敵である狼や山犬は明治時代に絶滅してしまっている。
天敵がいないから、鹿や猪は増える一方である。
また、昭和二十年代に行われた大規模な植林のせいで、
山には鹿や猪、そして熊の餌となる植物が少なくなっている。
天敵がいないから個体数が増える。
個体数の割には山に餌となる植物が少ない。
だから、鹿や猪や熊は里に下りてくる・・・。
駆除された鹿一頭につきいくら、
駆除された猪一頭につきいくら、
というように、狩猟者には県から補助金が交付されているようである。
殺された鹿や猪は「ジビエ」として売られていくのであるが、
日本人には「ジビエ」を喰うという習慣があまり、ない。
ドイツを旅していて気付いたことだが、
森が途切れる辺りには、必ずといっていいほど「狩猟小屋」が設けられている。
この小屋の中で狩人は獲物を待つのだが、
聞いたところによると、
狩人は、必ず狩人としての正装を身にまとって狩りを行うのだという。
獲物となる動物に敬意を払うためである、という。
ドイツにおいては、狩りは人間の胃袋を満たすための行為であるとともに、
「森の民」としての厳粛な儀式でもあるという。
補助金目当ての狩りとは一線を画す行為ではある・・・。