■ ネクタイ

二十七日から台湾に行かなければならないのだが、
どうやら、
二十八日にはちょっとしたパーティがあるらしい。
ジャケットとネクタイ着用のパーティ、であるらしい。
「なんや堅苦しいパーティやねんなぁ」
「俺、そんなパーティ出席したないわ」、と言うと、
「またそんな子どもみたいなことを」
「二時間ほどの辛抱やんか」
「ええ歳して何を言うてんのや」
「ちょっとは我慢ちゅうことも覚えんとあかんでぇ」、
とＫさんに窘められてしまった。
そもそも、冠婚葬祭用のスーツはあっても、
夏用のジャケットなど持っていない。
仕方がないから買いに行くことにした。
ジャケットは簡単に見つけることができたが、
ネクタイのいいのがなかなか見つからない。
ふと、数年前に購入したネクタイのことを思い出す。
「ドラえもん」と「MIFFY」のネクタイ。
アパートの押入れを探したところ、
「MIFFY」のネクタイが出てきた。
これならジャケットとシャツの色にもよく似合う。
パーティにはこれを絞めて出席することにしよう。
柄はどうあれ、ネクタイはネクタイなのだから、誰にも文句は言われないだろう。
ま、ほとんど酔った勢いで買ってしまったようなモノなのだが、
遠目には小紋のネクタイとしか見えないところが気に入っている。
さてさて、パーティではいったい何人の人がこの「MIFFY」に気付いてくれるだろう。
ところで、「ドラえもん」のネクタイはどこにいってしまったのだろう。