■ 台湾・その4
レンズの度がどうにも合わない。
老眼の度が進んだのだろう、
新しい老眼鏡を仕立てる時期にきていた。
台北の街を歩いていて、
「中国眼鏡公司」という看板が眼につく。
ショー・ウインドウには
お洒落な眼鏡が多数陳列されていた。
今から三十八年ほど前、
私はある眼鏡メーカーで働いていたことがある。
そのせいで、今も眼鏡の見立てには自信がある。
ショー・ウインドウの中に素敵な形の眼鏡を見つける。
ラウンド・シェープの眼鏡。
店の中では、三人のご老人が眼鏡を磨いていらっしゃった。
建物はボロボロだが、
店の中は隅々まで掃除が行き届いているようであった。
ご老人たちの立ち振舞いから、
信頼のおける店である、と判断する。
眼鏡メーカーの宣伝部に勤務していたから、
眼鏡の製造原価や流通経費にはおおよその見当が、今もつく。
店長らしきご老人と価格交渉を試みることにした。
価格の折り合いは簡単につく。
「MADE IN JAPAN」の眼鏡。
チタン製であるから、驚くほど軽い。
いい買い物をしたと思う。
台湾土産に「MADE IN JAPAN」はないだろうが、
日本で買うよりははるかに安かったから、ま、いいことにしておこう。
今朝は四時半に起床。
五時半にホテルを出発。
台北空港07:55発のノース・ウエスト70便で関西空港に向かう。
台湾は気温も人もとても熱い国だった。