■ naef/ネフ展
今から十年前の五月、
組み木デザイナーのOさんと、
おもちゃデザイナーの卵であったT君。
そして私の三人でヨーロッパを旅したことがあった。
Oさんは大酒のみである。
その頃、Oさんは痛風を患っていらしゃったのだが、
Oさんと「酒は一滴も飲まない」という約束を交わし、
我々はヨーロッパに出かけた・・・。
痛風を患うと、歩けないほどの痛みがあるという。
痛風には酒が一番良くないという。
その時の日記を読み返すと、
「ヨーロッパの街角で、初老の男を背負った若者と、
山ほどの荷物を引きずって歩く中年の男がいたとしたら、
多分、それは我々である」・・・、と書いてあった。
一行の目的は、
「ネフ」社の創業者でいらっしゃった「クルト・ネフ」さんのご自宅を訪問することと、
シャモニーに登ることであった。
登るといっても、ロープウエーでエギュードミディまで行き、
エギュードミディからモンブランを眺める、という軟弱なものであったのだが・・・。
昨夜、戸棚の中を整理していたら、
その時の懐かしい写真がいっぱい出てきた。
当時、スイスのツァイニンゲンにあった「ネフ社」の社屋の前で写したもの。
写真の中央が「ネフ」さん。
その左横に立っているのがOさん。
「ネフ」さんの右横に私。
その右横がT君。
「ネフ」さんが七十歳、Oさんが六十歳、私が五十歳、
そして、T君が二十二歳の時の写真。
昨年の十一月、「ネフ」さんは鬼籍に入られてしまった・・・。
明後日から岡山の職場で「ネフの積み木で遊ぼう/naef展」が始まる。