■ 納得
好きな政治家を一人挙げろと言われたら、
「Fidel Castro/フィデル・カストロ」、
と私は即座に答えることができる。
昔、「政治家に必要とされる資質は何か?」、
とあるテレビ局のクルーに質問された時、
「カストロ」は即座に「若さと経験」、と答えた。
つまり、
「若い頃には政治家としての経験が浅すぎる」
「しかし、経験を積んだ頃には老いぼれている」、
ということなのだ。
「若さと経験」、この言葉は何事にも当てはまる。
一昨日の日記に、
私は「一流」「極める」という言葉を使用したが、
この言葉を「納得」という言葉に置き換えたい、と思う。
私は「一流」になりたいと欲しているワケではない。
自分の人生や仕事に「納得」したいのである。
例えば、私はからくり人形の制作とデザインにも関わっているが、
新しいデザインのからくり人形が出来上がった時、
「ひょっとして、俺って天才と違うやろか」、と自惚れることがある。
しかし、それを超えるからくり人形が出来上がった時には、
前に作ったからくり人形が急に色褪せて見えてしまう。
「あぁ、つまらないモノを作ってしまった」、と落ち込んでしまう。
毎度毎度がそのことの繰り返しである・・・。
従って、いつまで経っても「納得」するということがない。
なにしろ、競争相手は自分の中に潜んでいるのであるから、
自分が「もっともっと」と要求しているうちは、
極めようとして極められるはずなどないし、
いつまで経っても「納得」などできるはずはない・・・。
ひょっとしたら、
「納得」しようとする自分の行動に「納得」したいだけなのかもしれない。
この歳になり、ようやくいろいろなコトが解りかけてきた。
しかし、解りかけてきた頃には、
あの若い頃の力が失くなってしまっている・・・。
昔、井上陽水の歌に「人生が二度あれば」というのがあったが、
人生は一度だけでいい、と思う。
一度だけでいいのだが、もう少し長ければいいのに、とそう思うことがある。
しかし、長ければ「納得」できるというものでもないだろう。
「納得」できない自分の人生が長引くだけのことである。
人生に必要なのは「若さと経験」なのかもしれない・・・。