■ 気配

aquio2007-08-13

「あかあかと日は難面くも秋の風」
金沢で芭蕉はそう詠んだ。
今朝から岡山の自宅に戻っている。
昼間の陽射しは強いものの、
風にはそこはかと無く秋の気配が感じられる。
窓の外では蝉時雨が止まない。
つくつく法師も鳴いている。
つくつく法師が鳴きだせば、朱夏ももう終わり。
今、午後六時半を少し過ぎたあたり。
外の気温は二十六度にまで下がっている。
窓を開け放つと、冷気を含んだ風が屋内を吹き抜けていく。
これだから山里の生活は堪えられない・・・。
「カナカナカナ・・・」、とヒグラシが鳴きだした。
ヒグラシの声はどこか哀愁を帯びているように聞える。
西の方角から遠雷の音が聞えてくる。
一雨くるのかもしれない・・・。
今日はこの村の夏祭り。
麓の方から太鼓の音が聞えてくる。
何年か前、私は仲間と夏祭りの実行委員を務めたことがある。
「お前たちも何か屋台を出せ」、と言うので、
ゴム鉄砲による「射的屋」を開店したことがある。
輪ゴム五本百円。
ゴム鉄砲の弾(輪ゴム)は的に向かって真直ぐには飛ばない。
中ったところで、的は台から転げ落ちない。
そうして、私たちはいたいけない子どもたちから小遣いを巻上げたことがあった。
中る中らないに関わらず、子どもたちには五十円ほどの景品を漏れなくプレゼントしたのだが、
それでも、相当に儲かったことを憶えている。
あの時に儲けた金は、仲間とのビール代に消えていった・・・。
心が痛まないワケでもなかったが、
「祭りだから、まぁいっか」、ということにしておいた。