■ チャンドラー
仕事を途中で切り上げ、アパートに帰る。
洗濯物が溜まっていたので、
白物は白物、柄物は柄物に別けて洗濯する。
まずは、シャツ類の襟に「プレケア」を塗りたくる。
ライオンの「プレケア」はいいねぇ。
襟や袖口の汚れが実によく落ちる。
洗濯は洗濯機に任せておき、
夕食の用意にとりかかる。
米を炊いている間に、風呂場をザッと掃除し、
湯船に湯を溜める。
卵、蒲鉾、葱、椎茸、酒、味醂、醤油等を用意して
「木の葉丼」を作る。
女房が作る「木の葉丼」よりもはるかに美味い。
多分、材料費をケチらないから美味いものができるのだろう。
風呂場の方から洗濯終了を知らせる電子音が聞える。
ベランダに出て洗濯物を干し、柄物の洗濯に取り掛かる。
汚れた食器を洗い、洗いあがった柄物の洗濯物を干し、
「アマリア・ロドリゲス」の歌声を聴きながら風呂に入る。
独り住まいは実にいい・・・。
午後十時半、
部屋のすべての灯りを消し、ロウソクに火を灯す。
ロウソクに火を灯したとたん、アパートの中が静寂に包まれる。
ロウソクの灯りの下で、
読みかけていた「プードル・スプリングス物語」を読む。
「レイモンド・チャンドラー」の遺作を「ロバート・B・パーカー」が仕上げたもの。
あれは「プレイバック」だったと思うが、
「チャンドラー」は主人公の「マーロウ」に、
「男はタフでなければ生きていけない・優しくなければ生きていく資格がない」、
と喋らせている。
「パーカー」も実にいいが、「チャンドラー」も実にいい。
主人公に喋らせる台詞が実に洒落ている。
「オッ、この台詞は泣かせるなぁ」、とか、
「いつか女性を口説く機会があれば、この台詞を使わせてもらおう」、とか、
「チャンドラー」はとても参考になるのであった・・・。