■ ブック・エンド
「死刑台のエレベーター」を観終わったのは、
深夜の二時を過ぎていた・・・。
今朝は六時に起床。
ちょっと眠い。
中国自動車道から舞鶴自動車道を経由して、
氷上郡の柏原町に出かける。
今日は某木工コンペの審査をしなければならない。
組み木デザイナーのOさん、
芸大の教授でいらっしゃるMさん、
雑誌編集者のOさんらと、六時間に亘って審査を行う。
人の作ったモノを審査する、という行為は本当に神経を使うものである。
贋作や盗作を見抜けず、うっかりそれらに賞など与えてしまった日にやぁ、
審査員としての知識や見識を疑われてしまう・・・。
喧々諤々の議論の末、グランプリを含め、入賞作品十点を選び出す。
ヘトヘトに疲れてしまった。
午後三時、
国道一七六号線を走り、神戸の職場に向かう。
今日はもう仕事なんかしたくない。
途中、篠山口の交差点に一軒の骨董屋を見つけて入る。
いくつかのブック・エンドが並べて売られていた。
チーズに腰掛けたネズミのブック・エンドに目を奪われる。
鋳物でできているから、ズシリと重い。
値段は驚くほど安かった。
代金を払おうとすると、
店番をしていた老婆が、
「あんた疲れた顔してるから、これ、あげる」、と朝鮮人参の入った健康食品をくれる。
しかも二箱・・・。
「なんでそんな疲れた顔してんの?」、と訊くから、
夜中の二時まで映画を観ていたこと、
今日は神経をすり減らすような仕事があったことを伝えると、
「そら、自業自得やね」
「夜はもっとはよ寝んとあかんわ」、と笑われた。
返す言葉もない・・・。
笑い顔が実にチャーミングな婆さんであったな。
店に並べられた骨董品もなかなかに質がいい。
職場からは車で一時間半ほどの距離でしかない。
またいつか訪れることにしよう。
朝鮮人参をコリコリ齧りながら神戸の職場に向かう。