■ チンピラ

aquio2007-09-10

Rさんが勤務するようになってから三ヶ月が過ぎた。
Rさんは在日三世の韓国人だが、
並の日本人よりも美しい日本語を操る。
で、その能力を生かしていただくため、
彼女には広報の仕事を担当していただくことにした。
しかし、彼女には広報の経験がない。
某出版社にコンタクトをとったところ、
「九月十日の午後二時に来てくれ」、という返事。
今日、Rさんを連れて大阪に出かける。
広報担当のRさんにとっては初仕事である。
道路が混んでいたため、昼食をとることができなかった。
出版社の扉を開け、「ごめんください」、と挨拶したところ、
大勢のスタッフがいるにもかかわらず、
私たちに一瞥はくれたものの、誰一人として返事を返す者はいなかった・・・。
嫌な予感がする。
十秒ほど、そのまま待っただろうか、
再度、「ごめんください」、と声をかけたところ、
尻の重そうな女がノロノロと受付にやってきた。
「Mさんはいらっしゃいますか」、と用件を告げると、
「出かけてます」、という返事。
「今日、午後二時にお会いする約束をしておりましたNです」
「あぁ、そうですか・・・」
「いつお帰りになりますか?」
「分かりません・・・」
「それではお帰りになるまで待たせていただきます」
そこまで言って、初めてMの部下らしき女が出てきた。
「Mの帰社は何時になるか分からない」、という返事。
「すみません」の一言がとうとう聞けなかった。
関西では大手の出版社ではあるのだが・・・。
編集者の使命は、自社の出版物の販売部数を伸ばすことにある。
販売部数を伸ばすためには、読者が喜ぶような記事を掲載しなければならない。
要するに、いい本を作らなければならないのだが、
その記事の素材として、
いろいろなモノがあり、いろいろなコトがあり、いろいろなヒトがいる。
人の社会は人が基本。
人がモノを作り、人がコトを起こす。
人と人の繋がりで社会が成り立っている。
利害という言葉はあまり使いたくはないが、
記事の素材を提供する側と素材の提供を受ける側、
双方の立場はイーブンであり、双方の利害は一致するのである。
そこんところが解っていない・・・。
明日、侘びの電話でもあれば許してやってもいいが、
あの編集部の雰囲気からして、そんなことがあるとは到底思えない。
約束の時間に私たちが訪問したことすら伝わらないのではないだろうか・・・。
ま、チンピラどもに腹を立てても仕方がない。
相手にしなければいいのだが、
四時間という貴重な時間を無駄に消費させられてしまったことには、腹が立つ。
腹が立つのは腹が空いていたからかもしれない。
Rさんを連れ、近くのカフェで簡単な昼食をとる。
なかなかに美味いサンドイッチだったが、
それを食べ終える頃になり、やっと注文したコーヒーが運ばれてきた・・・。
今日は腹の立つ一日だったな。