■ 大阪南界隈

aquio2007-09-14

博多からH君が大阪にやって来る。
午後四時、大阪難波のOCATで待ち合わせる。
来春から始まる展覧会について、
H君とその詳細をつめなければならない。
静かに話せる場所を求めて、
H君と地下街をウロウロと歩き回る。
午後六時、
H君と別れ、日本橋から本町に向けて歩く。
法善寺横町を抜けていくことにした。
商売繁盛、恋愛成就で有名な水かけ不動にお参りし、
恋愛が成就するよう、頼む。
「包丁一本さらしに巻いて旅に出るのも板場の修業」、なのである。
横丁を出たところで、「インディアン」のカレーライスを食べる。
私が大阪を離れたのは今から三十四年前。
「インディアン」のカレーを食べるのも、実に三十四年ぶり、ということになる。
店の佇まいは当時のまま。
カレーの味も三十四年前と少しも変わっていなかった。
キャベツのピクルスの酸っぱさもまったく変わっていない。
なんだかしみじみと美味しいのであった・・・。
記憶を頼りに、南界隈をウロウロと歩く。
角にあったたこ焼き屋はとっくになくなっていたし、
よく通ったジャズ喫茶もなくなっていた。
「三十四年だもんなぁ・・・」と呟きながら、
裏通りをぬって西に向かい、心斎橋筋に出る。
昔、心斎橋筋商店街は東京の銀座と肩を並べる商店街であった。
金を持たない若者にとって、心斎橋は敷居の高い商店街だった。
しかし、この変わりようはいったいどうしたことだろう?
心斎橋はどぎつい看板が眼を刺す下品な商店街になってしまっていた。
若い頃の思い出のある店がどこにも見当たらない。
周防町の交差点を渡り、御堂筋の一本西側の道を北に向かう。
この辺りも若者たちが跋扈する街に変貌を遂げていた。
心安らぐ場所はもうどこにも無いように思える。
あの大人の街はどこに行ってしまったのだろう・・・。
来るのではなかった、と思う。
しかし、「インディアン」のカレーはまた食べてみたい。
いつかまた食べに来ることにしよう。
それまであってくれればいいのだが・・・。