■ Heiko Hillig・その2

aquio2007-09-22

午後四時、
通訳のTさんと「ヒリック」さんを車にお乗せし、
神戸の職場に向かう。
彼は植物にとても興味があるらしく、
日本とドイツにおける植生の違いについて、
おもちゃの加工に適した材木について、
車窓から見える木々について、
様々な疑問を投げかけてくる。
中には専門的な用語も含まれているから、
通訳のTさんは困っておったが、
ま、なんとか意味は通じたようであった。
「ヒリック」さんの身長は一メートル八十センチを超える。
また、なかなかの男前である。
職員が「ヒリック」さんを連れて職場を案内している時、
どこで噂を聞きつけたのか、
近所のパン屋のオバサンがやってくる。
「Nさん、イケメンの外人さんってどこにいるん?」
Nさんというのは私のことである。
「今、Fが館内を案内してるわ」
「なんや、せっかく来たったのに留守かいな!?」
「来たったって、誰があんたに来てくれって言うた?」
「誰も来いとは言えへんかったけどな・・・」
「もうすぐあの外人さんは帰ってくるで」
「私も忙しいからすぐ帰らなあかんねん」
「俺の顔で我慢しときいな」
「Nさんのどこがイケメンやねんな!?」
「俺もなかなかのもんやと思うけどなぁ」
「あほくさ、鏡で顔見直して出直し!」
このオバサンはいつも憎まれ口をたたきにやって来る。
けったいなオバサンではあるが、妙に憎めない・・・。
息子の店でイタリア料理を召し上がっていただいた後、
午後九時、神戸の街に向かって出発する。
今夜はポートピア・ホテルに部屋を予約してあった。
別れ際、「貴方の職場をもう一度見てみたい」、というリクエストがある。
明日の朝、九時半に迎えに来ることを約束してお別れする。
昨日と今日、その走行距離は四百キロを超えた。
疲れを覚え、馴染みの「MOKUBA」に向かう。
「MOKUBA」の店内は満席であった。
店主のKさんは、店が忙しくなると機嫌が悪い。
阪神タイガースが試合に負けたことも、機嫌を一層悪くしていた。
けったいな店である・・・。