■ 講義・三日目

aquio2007-10-03

芸工大における講義二日目に出かける。
今日は、ボール盤轆轤(ろくろ)代わりに使う方法、
ベルト・サンダーで円盤を作る方法を教える。
まずは時間を与え、
「どうすればベルト・サンダーで円盤が作れるか?」、
その方法を考えさせることにする。
与えた時間は十五分。
学生達は真剣にその方法を検討していたが、
彼らの会話を聞いているだけで、
各々の性格がなんとなく見えてくる・・・。
また、数学に強い子、幾何学に弱い子、
頭の中で現物のイメージが描ける子、描けない子、
とこれまた各々の持ち味が如実に現れてくるから、面白い。
十五分後、彼らはそれなりの答えを出してきたが、
点数をつけるとすれば、ま、五十点といったところだったろうか。
彼らが思いついた方法では、
安全面への対策がまったく考えられていない。
「指をサンダーに巻き込まれたらどうする?」、と質問すると、
「あっ、そうかぁ・・・」、という答え。
工房には様々な機械が揃っている。
便利には便利だが、扱い方を一つ間違えれば、大事故に繋がる。
高速で回転する刃物やベルトから、いかに指や手を離して正確なモノを作るか・・・。
工作物を固定し、正確、安全、かつ迅速に加工するためには、
まず「JIG/治具」を制作しなければならない。
この治具の製作を怠ったため、
「ま、これくらいは大丈夫だろう」、と機械を侮ったため、
指を切断してしまった知人が何人かいる・・・。
木工の作業は「急がば回れ」なのである。
落ち着いてゆっくりと作ること、それが一番の早道であることを教える。
次回の講義は十月十七日。
「直径二十ミリの鉛球に垂直に穴を開けることができる治具のデザイン」を宿題に出したが、
さてさて、どのようなデザインの治具を提案してくるだろうか。
とても、楽しみ。
この大学では五人の学生たちに木工を教えているが、
皆が素直で明るい子どもたちである。
スポンジが水を吸うように知識を吸収していく・・・。
しかし、自分で考える、という力がまだまだ不足しているように感じられる。
しまし、ま、教え甲斐のある子どもたち、ではある。