■ みかけはこわいがとんだ純情な人だ
先日から「琵琶湖ビエンナーレ」が開かれている。
一昨日、
その会場でワークショップを開催したのだが、
用意していった針金が大量に余ってしまった。
自宅に針金を持ち帰り、
グチャグチャといじくっているうち、
見かけの怖いアンチャンの顔が出来上がる。
「見かけ」という言葉から、
「歌川国芳」の浮世絵、
「みかけはこわいがとんだいい人だ」を連想する。
で、「みかけはこわいがとんだ純情な人だ」、
というタイトルのからくり人形の制作を思いつく。
アトリエに転がっていた端材板で箱を作り、
底板を黒の水性絵の具で着色する。
厚み十二ミリほどの板で小さなハートを作り、赤いジェッソで着色する。
内径六ミリのバネを直径五ミリの丸棒に差し込み、固定する。
二つの突起を持つ小さなカムを作り、シャフトに固定する。
ノミで削ってハンドルのつまみを作り、小さな玉で固定する。
ハンドルを回すと、
「ドキドキッ・・・ドキドキッ・・・ドキドキッ・・・」、
というような感じで、赤いハートが前後に規則正しく動く。
ハートが底部の板に打ち当たる時、
箱の内部に共鳴して、けっこう大きな音がする。
ハンドルをゆっくりと回すと、ハートはゆっくりと脈打ち、
ハンドルを早く回すと、ハートは忙しく脈打つ・・・。
飲み屋のお姐さんを口説く時に使えそう、なからくりではあるね。
「ほら、僕のハートはこんなにもドキドキしてるねん」、とかなんとか言ったりしてね。
阿呆な話はさておき、
自画自賛めくが、なかなかに楽しいからくりが出来上がった、と思う。
アトリエに入ってきたH君と量産化について話し合う。
少しの改良点を加えれば、
パーツの数も少なくて済みそうだし、加工も単純化できそうである。
「いくらで販売するんでか?」
「これだったら一万円はもらえるんじゃないかなぁ・・・」
「たくさん売れたら困りますね・・・!」
「絶対に売れるで!」
「二人して儲けましょか!」、
とオッサンと若者の皮算用は果ても無く続くのであった・・・。