■ WHISKY
映画「WHISKY」を観る。
ウルグアイで靴下の製造工場を営むハコボ。
そのハコボの工場で働いているマルタ。
二人は十年一日のごとく、
その生活のスタイルを変えようとしてこなかった。
ハコボの母親が死んで一年目、
その墓石建立の日に合わせて、
ハコボの弟のエルマンがやって来ることになる。
エルマンもまた、
ブラジルで靴下の製造工場を経営しているが、
エルマンの羽振りはかなり、いい。
どうやら、
ハコボは弟のエルマンに対してコンプレックスを持っている模様。
エルマンがやって来る時、
ハコボは、「弟が滞在する間、妻の役を演じてくれ」、とマルタに頼み込む。
その申し出をあっさりと承諾するマルタ・・・。
「夫婦の記念写真が一枚も無いのはおかしい」、というマルタの疑問に応じ、
ハコボはマルタと偽りの記念写真を撮ることになる。
固い表情の二人にむかって、写真屋は「WHISKY」と言え、と要求する。
どうやら、ウルグアイにおける「WHISKY」は、
日本における「ハイ、チーズ」、と同じ意味であるらしい。
十年一日のごとくであったマルタの生活は、
エルマンの出現によって、少しずつ変化していく。
しかし、ハコボは頑なに変わろうとはしない・・・。
画面の中の三人の台詞は極端に少なく、
観る側としては、その行間を読んでいかなければならない。
エルマンはハコボの工場がうまくいっていないことを知っており、
「母の面倒を死ぬまでみてくれた礼」、
という名目で、ハコボの前に多額の現金を積む・・・。
現金の受け取りを拒否するハコボだったが、
ハコボはその現金のすべてを博打につぎ込んでしまう。
しかし、博打は大当たりし、
エルマンからもらった現金の数倍の現金をハコボは手に入れてしまう。
嬉しいような、困ったような表情をするハコボ・・・。
エルマンとマルタは男と女の関係になるが、
エルマンがブラジルに帰る時、
「飛行機の中で読んで」、とマルタはエルマンに手紙を手渡す。
映画は大きな余韻と疑問を残したまま、エンド・マークが出る。
マルタはエルマンの元に走るのか、
それとも、ハコボとマルタは結ばれるのか・・・。
「頑張れ!ハコボ」、
三人兄弟の長男である私は、ついつい兄のハコボを応援するのであった。