■ spiel gut/シュピール・グート

aquio2007-10-16

技術の進歩や情報の多様化、
大量に溢れる商品と、
それに伴う消費構造の変化は、
社会に様々な影響を及ぼしている。
特に、一九五十年代の後半からは、
産業社会は急激な変化を遂げたように思える。
それを後押ししたのが、
テレビという、
まったく新しいメディアの出現ではなかっただろうか。
日本においては、
平成天皇の結婚式の模様を一目見ようとして、
テレビが爆発的に売れる、という社会現象が起きた。
独楽に凧、メンコにビー玉、おはじきにけん玉、お手玉にカルタ・・・。
それまでは、いわゆる伝承玩具しかなかった子どもたちのおもちゃの世界にも、
大量生産・大量消費の波が押し寄せてきたように思う。
メーカーが新しい玩具をテレビの電波に乗せて宣伝する。
宣伝された玩具が飛ぶように売れていく・・・。
子どもたちを「消費者」として捉える時代になてしまったのだ。
おもちゃを使って遊んでいた子どもたちが、おもちゃに遊ばれる。
そんな時代がやって来た、とも言えるのではないだろうか。
しかし、「子どもの遊びとおもちゃの関係はそのようなものではない」、
と異を唱える運動が、日本とドイツで始まったのもこの頃だった。
ドイツの「子どもの遊びと玩具審議会」、
つまり、「spiel gut/シュピール・グート」の
前代表でいらっしゃった「リーゼロッテ・ペー」さんと初めてお会いしたのは、
十三年前の冬のミュンヘンにおいてであった。
シュピール・グート」については、
数々のサイトで詳しく紹介されているから、この日記ではその詳細は述べない。
シュピール・グートが抱える大きな問題は何ですか?」、という私の質問に対し、
「いつもお金が無いってことね」、という答が「ペー」さんから返ってきた。
「お金が無ければ、メーカーから協賛金を受けたらいかがですか?」、という質問に対し、
「ペー」さんからは、
「メーカーから金をもらったとしたら、私たちの活動の意味はなくなる」
「金をもらってしまえば、つまらない玩具でも優良玩具と認定しなければならない」
「私たちは玩具メーカーの紐付きの団体ではない」、
という明確な答が返ってきた・・・。
「子どもたちにいいおもちゃを!」、
シュピール・グート」はそのような活動を五十年以上も続けている。
シュピール・グート」が認定したおもちゃには、
オレンジ色の小さなシールがどこかに貼られている。
現在、世界にはいくつかの優良玩具認定団体が存在しているが、
その団体の後で玩具メーカーが糸を操っていないか、どうか・・・。
子どもを持つ親としては、そのあたりを厳しくチェックする必要があるだろう。